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ヤンキー高校ってどんな高校?あるあるネタや実在のヤンキー高校一覧も紹介

校門ヤンキー高校と聞くと、教室の窓ガラスが割れていたり近隣高校との喧嘩が絶えなかったりと、暴力が横行する昭和の問題校を連想する方も多いのではないだろうか。近年は街を歩いていても、「クローズ」や「東京リベンジャーズ」などの漫画に出てくるようなステレオタイプのヤンキー高校生を見ることはほとんどない。
しかし、現在でもネット上では「この高校にはヤンキーが多い」という口コミや「ヤンキーが多い学校と聞きますが、受験しても大丈夫でしょうか?」といった質問がいまだに多く見られる。昭和の時代とは様子が変わっているものの、ヤンキー高校と呼ばれる高校は存在するようだ。
また、二階堂高校 、飛龍高校、高松中央高校、開新高校、八潮高校など、高校名を検索するとサジェストに「ヤンキー」という言葉が出る学校も複数見受けられる。
そこで今回は、現在のヤンキー高校とはどのようなものなのか、日本最強の不良高校と呼ばれたかつての国士舘高校の逸話や漫画に出てくるヤンキー高校のランキングなどとあわせて紹介していく。

記事の内容

  1. ヤンキー高校とは
  2. 漫画のようなヤンキー高校は実在する?
  3. ヤンキー高校あるある
  4. 昭和と令和のヤンキー高校生像の違い
  5. ヤンキーが多いと言われている高校一覧
  6. 昔は荒れていた?開新高校(熊本)高松中央高校(香川)
  7. 全国高校偏差値ランキングワースト1?沼津北高校(静岡)
  8. パリピが多い?都立八潮高校(東京)
  9. 生徒の炎上で有名に…磯子高校(神奈川 
  10. 卒業までいる生徒が少なすぎ福岡第一高校(福岡)
  11. 無免許教師にセクハラ!飛龍高校(静岡)
  12. 名前が書ければ入れる?奈良県立二階堂高等学校(奈良) 
  13. tiktockで有名・田奈高校(横浜)
  14. 『ヤンキー母校に帰る』のモデル北星学園余市高等学校(北海道)
  15. 工業高校はヤンキーが多い?
  16. 漫画の有名ヤンキー高校ランキング
  17. 昭和の日本最強ヤンキー高校・国士舘高校
  18. 国士舘高校と朝鮮高級学校の抗争は映画にもなっている
  19. 総括:昭和の時代や漫画の世界のようなヤンキー高校はもうない

ヤンキー高校とは 

令和2年度に文部科学省が発表した「高等学校教育の現状について」という資料によると、日本での高校進学率は98%を超えるという。

しかし、高校に進学するすべての生徒が義務教育過程で習うことをきちんと理解しており、一般的に考えられる高校入学相当の学力を身に着けているわけではない。小学校で学ぶ内容も理解できていないまま、定員割れをしている高校に入る者もいる。

昭和の頃であれば、このような学びに問題を抱えた生徒が集まる偏差値の低い高校は荒れる傾向にあり、ヤンキー高校と呼ばれていた。1980年代から授業がスムーズに進まず、学びの場として問題がある学校は「教育困難校」と呼ばれるようになり、ヤンキー高校も当然、教育困難校に分類された。

しかし現在、教育困難校に通っているのは単に勉強に興味を持てなかったという者や問題児だけではない。健康上の理由やいじめなどのトラブルが原因で小学校、中学校に行かれなくなってしまった者や、経済的な理由で学業に没頭できる環境がなかった者など、さまざまな理由を抱えた生徒が在籍している。

朝比奈なを氏の書籍「ルポ教育困難校」によると、教育困難校には授業を受ける気がなく問題行動の多いヤンキー生徒と、何らかの問題で社会性が育っておらず、周囲とのコミュニケーションが著しく苦手なコミュ障オタク生徒、自己肯定感の低い無気力な生徒が混在しているという。つまり勉強に対して前向きで真面目な生徒とヤンキーが、同じクラスで普通に授業を受けているのである。

そのため現在では「あの高校はヤンキー高校だよ」と噂されるような学校であっても、すべての生徒が授業をサボる、妨害する、タバコや酒などに手を出すというような問題行動や、警察沙汰になるような騒ぎを起こしているわけではなく、学校そのものがわかりやすく荒れているわけでもない様子だ。

漫画のようなヤンキー高校は実在する?

1980年代頃までは、漫画やドラマのように喧嘩に明け暮れる生徒が多かったり、近隣住民から怖がられたりするようなヤンキー高校というのも実在した。当時は今と違いヤクザが権力を持っていたこともあり、在学中からヤクザの舎弟見習いのようなことをする生徒がいる学校や、「あの高校はヤクザ養成学校だ」と囁かれる学校まであったという。

しかし現在では偏差値が低い学校は生活面の指導が厳しく、問題行動を起こすと退学などの処分をされるため、派手な見た目の不良が多い、漫画のようなヤンキー高校はまず見当たらない。あまりにも荒れている高校は少子化の影響もあって入学希望者が激減し、廃校になるケースもあるため、目立って問題のある学校はどんどん淘汰されているようだ。

また、警視庁の発表でも少年犯罪の検挙件数、補導される未成年者の数は減少しているとあるので、現在は漫画のような武闘派のヤンキー高校生自体が減少しているのだろう。

ヤンキー高校あるある

ヤンキーが多いと言われている学校には、いくつかの共通点、あるあるネタがあるという。上のようにヤンキー高校のあるあるネタをまとめた動画もあるほどだ。

調べてみると、下記が現代のヤンキー高校あるあるネタのようだ。

  • 教室にガスコンロやゴザなど、授業に全く関係のない生活用品が備品として置いてある
  • 男女問わずシモネタが好き
  • 学校菜園の農作物などが盗まれる
  • 学校の備品を盗んで転売する者がいる
  • 財布がなくなることが多い
  • テストの問題は難しくても中学生レベル
  • 道を外れる生徒がいるため校則が異常に厳しい
  • 先生は授業よりも生活指導に追われている
  • 出身中学のほうが荒れていた(本当の問題児は高校に進学しないため)
  • 中途退学者が多く、卒業アルバムが寂しい
  • やたらと腕相撲が流行る
  • 意外にオタクとヤンキーが仲良くなる

やはり喧嘩はしておらず、問題行動としては転売などに手を出す者がいる様子である。ただ、意外と楽しそうだと感じられる特徴も多い。

昭和と令和のヤンキー高校生像の違い

ヤンキー高校生のファッションも、ヤンキー文化全盛期の頃と現在では変わってきている。

かつてはボンタンと呼ばれるダボッとしたズボンに赤いTシャツ、短い学ランや特攻服にリーゼントがヤンキーファッションの定番だった。

しかし今の「ネオヤンキー」と呼ばれるヤンキーファッションでは、アメカジスタイルやバイカースタイル、ワークスタイルなどが主流だ。制服も着崩す程度で、丈を極端に詰めるような改造はしない。上の画像の漫画「ゲーセンで会ったヤンキー男子高校生に懐かれる話」のヤンキー高校生の服装もネオヤンキーファッションだ。

女子もスカートの長いスケバン風の格好をしたヤンキーはおらず、ギャル系のファッションが主流である。

ヤンキーが多いと言われている高校一覧

昭和のようなわかりやすいヤンキー高校はなくなったが、現在でも「ヤンキーが多い」「荒れている」「あまり良い話を聞かない」と囁かれる高校も少なからずある。

ここではネット上で高校名を入れるとサジェストに「ヤンキー」という単語が出てくる高校を中心に、どんな学校なのか、なぜヤンキー高校と呼ばれるのかを紹介していく。

昔は荒れていた?開新高校(熊本)高松中央高校(香川)

熊本県の開新高校は、一昔前まで熊本市の不良が行く高校、市内の高校のどこにも受からなかったヤンキーが行く学校というイメージを持たれていたという。しかし現在では随分と様変わりして、国立大学に進学する生徒も輩出している。

2020年5月には開新高校に通う男子高校生が友達と自宅で勉強をしていたところ、隣のアパートから煙が出ていることに気づき、大家に連絡をしたうえで勇敢にも火元となっている部屋に入って消火活動を行なったというニュースも報じられた。

このニュースからも現在の開新高校は、ヤンキー高校からは程遠い学校になっていることがうかがえるだろう。

同じく香川県の高松中央高校も、2000年代はじめ頃までは不良が目立ったものの、現在はスポーツ強豪校という印象が強いとされる高校だ。

両校とも以前のイメージで「ヤンキー高校だと聞いた」という噂がネット上でも見られるが、普通の高校である。

全国高校偏差値ランキングワースト1?沼津北高校(静岡)

静岡県の沼津北高校は、ネット掲示板がきっかけで有名になった伝説の高校である。日本で最も偏差値が低い高校として知られ、地元では「ぬまっき」という愛称で呼ばれていた。

インターネット黎明期の噂話も含まれるため、どこまで本当なのかはわからないが、沼津北高校の生徒はとにかく素行が悪く、通学途中に飲酒や喫煙、万引きなどをするためにスクールバスによる通学を義務化していた、授業をサボる生徒が多かったため校内は監視カメラだらけだった、脱走防止のため窓には鉄格子がはまっていたなどの話が残っている。

静岡県内のみならず、県外からもどこの高校にも入れなかったヤンキーが集まってきたため、学校の授業のレベルも低く、数学の時間に九九をやっていたとの噂まである。なお、通常であれば九九は小学2年生の二学期にマスターする。

そんな沼津北高校だが、あまりにも悪い噂がネットで流れてしまったために近隣住民の署名活動がおこなわれ、1999年に誠恵高校という名称に変更されている。現在では大学進学率も偏差値も上がっているという。

パリピが多い?都立八潮高校(東京)

八潮高校は不良というより陽キャ、パリピ系の生徒が多い学校のようだ。そのためノリについていかれない、うるさくて授業に集中でいないと感じる生徒も少なくないという。

また八潮高校の口コミでは「同級生から高校生とは思えない幼稚な嫌がらせをされた」「SNSなどを使った陰湿ないじめがあった」という卒業生や在校生のコメントが多く見られる。

一般的に進学率の高い高校では、生徒が勉強に集中することからいじめが少ない傾向にあるとされているため、このあたりも、八潮高校がヤンキー高校と言われてしまう理由なのかもしれない。

生徒の炎上で有名に…磯子高校(神奈川

神奈川県の磯子高校は制服を着崩している生徒が多い、髪色が派手な生徒が多いという口コミが目立つ高校だ。これだけならヤンキー高校と言うほどではないのだが、在校生が起こした炎上事件が原因で、悪い意味で有名になった学校なのだ。

2018年に磯子高校に在籍していた女子生徒が、藤沢駅の改札を無理やり通り抜けて無賃乗車する様子を同じく磯子高校に通う彼氏に撮影させ、インスタグラムにアップした。

動画内には彼氏が女子生徒を呼び声が入っていたため、すぐに彼女のフルネームが特定されて炎上。撮影者で自らも無賃乗車をした彼氏も特定された。

しかも特定後、彼氏の方は他人が落とした財布の中に入っていたお金を盗んだ様子もSNSにアップしており、「ババアありがと。この金で彼女と江ノ島行ってくるから感謝しろ」という酷いメッセージまで投稿していたことが明らかになったのだ。

本人たちがアカウントを消して逃げたために磯子高校に苦情を入れた人もいたそうだが、取り合ってもらえなかったという。その報告に対して「あの高校はヤンキー高校だから、通報しても無駄」というツイートも見られた。

統廃合のため2020年をもって磯子高校は閉校したが、未だに磯子高校の名前で検索すると炎上事件の詳細が出てくる。

卒業までいる生徒が少なすぎ福岡第一高校(福岡)

福岡第一高校は、お笑いコンビ・バッドボーイズの佐田正樹さんの出身校である。佐田さんは高校時代、福岡連合という暴走族の総長だった、在学中に少年鑑別所に入ったといった不良エピソードを公表している。

高校内でも上級生相手に喧嘩を繰り返していたそうで、当時の福岡第一高校が相当に荒れた学校であったことがうかがえる。

校内での暴力沙汰はないが、現在でも福岡第一高校には派手な生徒が多いようで、特進クラス以外の生徒は入学式の時点で髪色がすごい、授業が始まるとどんどん生徒が退学していき、卒業時には入学時の半分しか生徒が残っていないという話もある。

また校則を守らない生徒が多いため、服装チェックに時間がかかりすぎてしまい結果として授業がおざなりになる、授業が二の次になっている教師がちらほらいる、といったように真面目に勉強をしたい人には不向きな学校だという口コミも見られた。

無免許教師にセクハラ!飛龍高校(静岡)

静岡県の飛龍高校はスポーツの強豪校で、とくに野球部は県内でも指折りの実力を持つ。コースによってはヤンキーが多いと言われているが、ナリヤン(なりきりヤンキーの意味。ファッションでヤンキーの真似をしているだけのこともある)もいるようなので、授業に影響が出るほど荒れているということはないようだ、

むしろ飛龍高校は生徒の素行よりも教師側の問題が報道されることが少なくない。2018年3月には教師2人が教員免許を持たない授業を長年にわたって担任していたことが発覚し、県が調査に入った。

このことは新聞やTVでも報道され、発覚時には「該当の教師から授業を受けた生徒はどうなるのか?」「免許を持った教師からの補修などはおこなわれるのか?」と話題になった。

さらに翌月の4月にはボランティアで飛龍高校の相撲部に指導に来ていた同校OBが、生徒にセクハラをしていたことも報じられている。しかも夫婦でボランティア指導員をしており、夫は女子部員に、妻は男子部員にセクハラをしていたというのだから驚きだ。

立て続けに不祥事が報道されると「この学校はひどかったよ。」という声が卒業生からあがるとともに、「漫画に出てくるヤンキー高校みたいな名前だ」といった声もSNSやネット掲示板では見られた。

名前が書ければ入れる?奈良県立二階堂高校(奈良)

二階堂高校は奈良県の公立高校だ。偏差値は42程度とされているが、在校生の口コミによると定員割れする年が多く、受ければ誰でも入れるという。

入学希望者からは「二階堂高校は1教科だけなら、入試の点数が一桁でも入れる」と進路相談で言われたというコメントも見られ、名前が書けば入れるというのは言いすぎであっても、入試のハードルが高くないのは事実のようだ。

同じく入学希望者からは「ヤンキーばかりだと聞いたが、馴染めるか心配だ」という声もネット上では見られたが、在校生によると入試時に面接をやっていることもあり、素行に問題がある生徒はあまりいないという。

ただ入試のハードルが低いため、学力に問題を抱えている生徒だけではなく、生活態度についての教育がきちんと行き届いていない生徒も少なくないと指摘する声も見られた。周辺住民によると同校生徒によるゴミのポイ捨てなども頻繁に見られるといい、道徳や生活指導の改善を求める人もいる様子だ。

tiktockで有名・神奈川県立田奈高校(横浜)

横浜市青葉区にある田奈高校は、在校生たちが投稿したtiktockの動画が原因で有名になった学校だ。動画のなかには公共の場での迷惑行為を面白おかしく撮影したものが多く、tiktockのユーザーからはバカ高校とまで呼ばれてしまい、田奈高校をネタにする動画も量産された。

なお、真面目に授業を受けたい生徒からは

  • まるで動物園だ。まったく授業にならない
  • 手ぶらで登校する生徒もいるが、先生が怒らない。ありえないと思う
  • 30人のクラスなのに、HRに間に合うように定時に登校している生徒が5人もいない
  • 校内でも喧嘩、通学に使うバスでも喧嘩。猿山かと思う
  • 最寄り駅から田奈校までの道は、生徒がポイ捨てするからゴミだらけだ
  • ここの生徒というだけで、出入り禁止になる店がある

といった信じがい口コミが寄せられている。

また同校の生徒がMeland x Haukenの楽曲「CHERNOBYL 2017(通称・やりらふぃー)」の替え歌に合わせてダンスした動画もtiktockでバスり、tiktock強豪校とも呼ばれた。そして田奈高校の生徒が電車内などで周囲に迷惑を掛けながら「やりらふぃー」を踊る動画が多数投稿され、またしてもヤンキー学校と呼ばれた。

しかし現在では、そんな世間の田奈高校に対する見方も少し変わっているようだ。2021年2月3日放送のNHK「クローズアップ現代」でも田奈高校は取り上げられたのだが、番組のなかで同校の生徒は家庭環境に問題を抱えた者が多いことが報じられた。

経済的に困窮していて昼食も自分のアルバイト代から出している生徒や、親から虐待を受けていて小学校から不登校になっているという生徒のインタビューも流れ、「明るいおバカ高校の印象があったけど、これは辛い…」という感想がSNSでは多く見られた。

勉強などとてもできないような環境に置かれていたからこそ、どのように授業を受けて良いのか、何から学んだら良いのかがわからない生徒がいるのだ。そのような生徒を受け入れるため、田奈高校の入試にはペーパーテストがなく、面接のみで合否が決まるという。

また番組内では、なんとか生徒を救おうと奔走する教師の姿や、家に居場所がない生徒のためにNPO法人が図書室でカフェを開いて無料で食べ物を提供している様子なども紹介され、教育困難校の課題について考えた視聴者も多かったようだ。

『ヤンキー母校に帰る』のモデル北星学園余市高校(北海道) 

現在、日本で最も有名なヤンキー高校といえば、北海道にある北星学園余市高校だろう。ヤンキー先生こと義家弘介氏の出身校でもあり、ドラマ「ヤンキー母校に帰る」の舞台でもある学校だ。

2001年には全校生徒560人のうち、79人もが大麻やシンナーを吸引していたという衝撃的な薬物事件を起こしている。

では現在も問題を起こしている学校なのかというと、それは違うようだ。もともと余市高校は1988年より不登校、引きこもり、高校中退者を全国から受け入れる、いわゆる受け皿としての役割を掲げている。

そのためさまざまな生徒が在籍しているのだが、高校でやり直せたという生徒も少なくなく、「高校生活は楽しかった。先生には今でも感謝している」「はじめて友だちができた」「先生のおかげで、自分もやればできるんだって感じられた」という卒業生の口コミも見られる。

なお全寮制の学校ではないため、県外や遠隔地から入学した生徒は近隣住民が提供する下宿で世話になるという。親でも教師でもない大人と関わるので、下宿のおかげで社会性を身につけられたという声が多く見られた。

このように問題を抱えた生徒を数多く救ってきた余市高校だが、通信制高校や高校生も受入可能なフリースクールなどの充実により入学希望者が減り、近年では運営が困難な状況にあるという。

工業高校はヤンキーが多い?

漫画やドラマの影響か、工業高校や水産高校など普通科高校ではない学校にはヤンキーが多いと思われがちだ。実際に工業高校などは男子生徒が多かったり、偏差値が低めの学校も少なくないため、揉め事で手が出てしまったり生徒の服装が派手になったりと荒れていた時期もあったようだ。

ただ、もともと工業高校など専門的な授業がある学校には、技術を学ぶために入学する生徒も数多くいるので、工業高校だから、水産高校だからヤンキーがいるということはない。

むしろ好きなことに没頭できて、同じ志を持つ友達にも恵まれて充実した学校生活を送れたという人も多いようだ。

漫画の有名ヤンキー高校ランキング

ここまでお伝えしてきたように、現在は「校内でカツアゲされる」「学年ごとに厳しい序列があり、守らないと殴られる」といった怖いヤンキー高校というのは実在しない。

ただ漫画やドラマなどのフィクション作品では、ステレオタイプのヤンキー高校がいまだに描かれており、根強い人気を誇るものもある。2017年に大手ポータルサイトのgooが「漫画に登場する、怖いヤンキー高校」についてネット上でアンケートを取り、ランキングを作成、発表して話題になった。

ランキングで通いたくないヤンキー高校3位に選ばれたのが、「ろくでなしBLUES」の主人公・前田太尊が通った帝拳高校、2位に選ばれたのが「魁!!クロマティ高校」の舞台となったクロマティ高校、1位に選ばれたのは「クローズ」「WORST」の舞台となった鈴蘭男子高校である。

 

なお、鈴蘭男子高校のモデルは福島県にある県立立坂下高校と若松第一高校だと公表されているが、決してこれらの2校がヤンキー高校というわけではない。単に校舎をデザインする際にモデルにしたというだけなので、どちらも普通の学校である。

昭和の日本最強ヤンキー高校・国士舘高校

ヤンキー高校が社会問題になった昭和40年から50年代にかけて、日本最強と恐れられたのが東京都世田谷区にある国士舘高校だ。

当時のヤンキー高校生は周辺の高校生を相手に駅や喫茶店など公共の場でも大人数での喧嘩を起こしていたといわれるが、国士舘高校は単なる喧嘩好きに集まりではなく、学校の教えもあって社会に貢献したいという考えから政治に関心を持つ不良もいたとされる。

そのためか卒業後に警察官になる者もいたため、喧嘩や器物破損などの事件を起こしてもそれほど大きな問題にならずにOBが手配していたとの話もある。

そんな国士舘高校と抗争を起こしていたことで有名なのが、東京朝鮮高級学校だ。朝鮮高級学校も荒くれ者が多く、周辺でも問題を起こす存在であったが、拉致問題の関係もあって当時の警察は朝鮮高級学校の生徒を厳しく指導することができなかったという。触れてはいけない、アンタッチャブルな存在だったのだ。

しかし、そのような朝鮮高級学校の生徒が許せなかったのが国士舘高校の生徒だ。2校の生徒は頻繁に喧嘩を繰り返していたが、昭和46年についに大規模な抗争が勃発。

国士舘高校の生徒20人と朝鮮高級学校の生徒20人が、新宿駅のホームで刃物やガラス瓶、木刀などの凶器を用いての大乱闘を起こしたのだ。

ホームには1000人近くもの利用客もいたため、多数の警官が動員されて電車も運行停止になったという。なお、巻き添えにあった一般客のなかからは負傷者も出た。高齢の女性が病院に搬送されたとの話もある。

さらにその後、同じような抗争が高田馬場駅でもあったために、国士舘高校と朝鮮高級学校の問題はマスコミのみならず国会でも取り上げられ、社会問題になった。そして、高校生同士の喧嘩や抗争に対する警察の取り締まりも強化されたという。

国士舘高校と朝鮮高級学校の抗争は映画にもなっている

この国士舘高校と朝鮮高級学校の関係をモデルに、日本の高校に通う男子生徒と朝鮮学校に通う女子生徒の視点で描かれたのが井筒和幸監督の「パッチギ!」だ。

朝鮮高校の生徒が日本人高校生の乗ったバスをひっくり返すシーンで有名だが、抗争とは関係なく朝鮮高校に通う女子生徒やその友人らと交流する主人公の姿が描かれた青春映画だ。

同じく国士舘高校と朝鮮高級学校のことを国士舘高校側の視点で描いた映画が「昭和高校最強伝 國士参上!!」だ。こちらは抗争や喧嘩のシーンがメインのヤンキー映画である。どちらの映画も当時のヤンキー高校生について知れる内容であるため、興味がある方には視聴をおすすめしたい。

総括:昭和の時代や漫画の世界のようなヤンキー高校はもうない 

今回はヤンキー高校について紹介した。この記事のポイントは以下のとおりだ。

  • 偏差値が低い学校=ヤンキーが多い学校ではない
  • ヤンキー高校生といっても素行は悪くなく、見かけが派手なだけなことも多い
  • 高松中央高校や開新高校のように、かつてはヤンキー高校だったが環境が改善された学校も多い
  • 少子化に伴い、あまりにも荒れていた高校は廃校や統廃合でなくなるケースもある
  • ヤンキーが多いとされる教育困難校には問題を抱えた生徒が少なくない
  • 現在は教育困難校は学びの場としてさまざまな取り組みがされている
  • 工業高校=ヤンキー高校生が多いというわけではない
  • 昭和のヤンキー高校は本当に漫画のように喧嘩に明け暮れていた

現在では日本最強と恐れられたかつての国士舘高校のような、喧嘩に明け暮れるヤンキー高校は実在しない。

また、ネット上でヤンキーが多いと噂される高校も、問題を抱えた生徒の受け皿としての役割を持っており、決して勉強に興味がない生徒のみが通っているわけではないことがわかった。偏差値や進学率の高さを問わず、1人でも多くの生徒が高校生活を通して現在や将来への希望を持ってくれればと願うばかりだ。

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